お稽古をお休みしていますと、お花の話題ばかりになってしまいます。
今日は、風がきついので花が折れていないかみて回りましたら、天災ならぬ犬災😭😱
柵を乗り越えて、花の上でまさかの昼寝を💦💦
さておき、気を取り直し、今日は、和歌にも読まれた花を三種。
【カキツバタ】
杜若(カキツバタ)が、美しい紫の花を咲かせはじめました。初夏を感じるこの花にちなんだ和歌は、一路庵の人は、毎年話をしているので、もう耳にタコができているでしょう。
から衣 きつつなれにし 妻しあれば
はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ
『伊勢物語』に登場する在原業平の歌で、東下りの折に、今の愛知県のあたりで休息したところ、目の前に見事に咲いているカキツバタの花が、妻の普段着ている衣とよく似ていることで、都を思い出し、やむなく遠くまで来てしまったことを寂しく、そしてもう帰れないかもしれないという失意の中、はらはらと涙目して詠んだ歌と言われています。
「か・き・つ・ば・た」の5文字をそれぞれの句頭にいれて歌を詠んだことで、とても有名な歌です。
【オダマキ】
先日、難解漢字の花でアップしました、オダマキです。
先日のは、八重の西洋オダマキですので、どちらかというと、こちらの方が、お茶花としては床の間に良く映えます。
しづやしづ しづのおだまき繰り返し
昔を今に なすよしもがな(吾妻鏡)
義経の恋人だった静御前が、頼朝に囚われたとき、堂々と義経の事を思った歌をうたいながら舞った事で有名な歌です。
オダマキは、糸繰りの事。
今は、頼朝も栄華を極めていますが、糸繰りのように、世の中またどうなるかわかりませんよ。という怖い意味もこめられたという説も。
【山吹】
七重八重 花は咲けども 山吹の
みのひとつだに なきぞかなしき
ある日、道灌はにわか雨にあってしまい、みすぼらしい家にかけこみました。
道灌が「急な雨にあってしまった。蓑(今のレインコートのようなもの)を貸してもらえぬか。」と声をかけると、幼い少女が出てきて、そしてその少女がさしだしたのは蓑ではなく、何故か山吹の花一輪でした。
さっぱり意味がわからない道灌は「花が欲しいのではない。」とかんかんに怒り、雨の中を濡れて帰って行きました。
その夜、道灌がこのことを語ると、家来の1人が、後拾遺集に中務卿兼明親王が詠まれた歌
【七重八重花は咲けども山吹の(実)みのひとつだになきぞかなしき】
という歌があります。その娘は蓑ひとつなき貧しさを山吹に例えたのではないでしょうか。と、進言しました。
この事があってから、道灌は、自分の勉強不足を恥じ、歌の道も精進して学んだという事です。